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世界の温泉
 
Thermalbäder der Welt

1)温泉の起源

地球上には、太平洋を取り巻く環太平洋火山帯をはじめ、火山帯に高温の
湯量豊富な温泉が多く分布している。また、海底や、火山があまり見られ
ない大陸の内部などにも温泉の湧出が見られる。

温泉利用が歴史に現れたものとしては、紀元前500年頃に、ギリシャで
硫黄泉に入浴していたという記録がある。ローマに有名なカラカラ大浴場を
つくったローマ人は、温泉を好み、古代ローマ帝国時代にヨーロッパ各地で
温泉を開発し、傷病者に温泉療法を広めたといわれている。
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ローマのカラカラ大浴場、談話室の眺め、12万平方メートルの面積にプールと
浴室の他、遊歩ホールやスポーツ施設、そして読書室が配されていた。
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一方、西ヨーロッパでは地下から湧き出る水を聖水と考える信仰が見られ、
聖地に湧き出る鉱泉水や温泉水は、巡礼者によって心身を癒す飲料水や
沐浴に用いられた。

インドには、釈迦が入浴したと伝えられる温泉が現存している。インドの
温泉は、ガンジス川と同様に沐浴して心身を清めるところとされている。

中国では、温泉は病気治療の力が備わった神秘的なものとされた。
秦の始皇帝と楊貴妃のロマンスで有名な華清池の温泉は神女が湧出
させたといわれる。

日本では温泉は行楽温泉あるいは歓楽温泉として、おもに旅の楽しみや
裸の付き合いに、大きい豪華な浴槽や露天風呂に多人数で入ることを
好むが、ヨーロッパでは、温泉といえば長期滞在型の旅行であり、入浴
よりも飲泉主体の医療や保養を目的としたものである。

世界では、一般的に温泉プールや露天風呂には、水着で入り、水泳と
ともに日光浴を楽しんでいる。
また、温泉に入ることをせず、あくまでもその温泉の自然の景観を楽しむ
だけという温泉地もある。温泉を暖房や発電に利用したり、日本とは少し
温泉事情が異なるようである。

温泉療養については、19世紀から研究が進み、過去の経験と医学的研究
の結果、適応症もはっきりと明示され、慢性病の治療に利用されている。

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2)ヨーロッパの歴史

ヨーロッパには、地中海火山帯がイタリアからギリシャ・トルコにかけて
伸びていて、ベスビオ、ストロンボリ、ブルガリノ、エトナなどの有名な火山
を生み、多くの高温泉を産み出している。温泉は、活火山が見られない
地域(ドイツ・チェコ・フランス・ロシア)などにも見られるが、これらの地域
にも熱源があると考えられる。
また、ほとんどの温泉が食塩を含む食塩泉である。

これらの温泉の中には、古代ローマ帝国時代に開発されたものもあり、
長い歴史を持っている。しかし、温泉地の数は日本に較べて少なく、泉質や
自然、環境など、それぞれの温泉地の特徴が昔から研究されており、
適応症、入浴方法などが、はっきりと定められ、慢性疾患の治療に利用
されている。

ヨーロッパでは、温泉は長期滞在が普通であるため、温泉地には、飲泉、
温泉浴、温泉プールなどの温泉関連施設だけでなく、遊歩道、病院、
ホテル、野外・屋外の運動場などはもちろん、図書館、博物館、コンサート
ホール、社交場などの文化施設も併設されている。

また、その温泉の適応症の専門医が常駐しており、温泉治療についての
指導や診察を行い、この温泉医のもとで温泉治療が行われるようになって
いる。また、食事療法に対しても、はっきりとした姿勢を持ち、ホテルの
食事がそれぞれの症状にあった食事になっている事も珍しくない。

温泉での治療は、飲泉や入浴というものだけでなく、日常の健康管理に
対しても指導を行う。温泉療法は、はっきりと医療の一環として認められて
いるためか、滞在費や飲泉療法に要する費用の大部分を、労働組合や
健康保険などの社会保証制度によって賄うこtこができるようになっている。

ヨーロッパでの温泉療法は、飲泉が主体となっているため、その温泉風景
は日本と少し違っている。飲泉カップと呼ばれるカップで、朝夕一定の時間
に飲泉所に集まり、処方にしたがって飲泉カップに温泉水を汲み、音楽を
効いたりおしゃべりをしたりしながら、ゆっくりと時間をかけて温泉水を飲む。
中には飲泉カップを手に散歩をする人もいるという。

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シャワーの下の4人の裸女、水は動物の頭の形をした吐水口から流れる。
ギリシャの壺絵(BC5世紀頃、ベルリン国立博物館、戦災で紛失した古代コレクション)
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バースにあるローマ時代のアクアエ・スリス浴場のプール
(イギリス、1世紀)
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3)ヨーロッパ各地の温泉

ナウハイム

ドイツ最大の温泉であり、フランクフルトの北に位置する。
年間利用客は百万を超えると言われている。昔は湧出する食塩泉で食塩
の生成を行っていた。町の中心には、飲泉ホール、吸入室、温泉浴などの
温泉治療施設、温泉プール、病院、研究所、社交館、音楽堂、塩博物館
などがある保養公園で、周りには宿泊施設やゴルフ場などがある。
深い森に囲まれた静かな温泉地である。
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屋外プールで沐浴する女たち
(名人ジョルジョ・デ・グッビオによるイタリア・マジョリカ焼)
1525年、ウォレス・コレクション、ロンドン)
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バーデンバーデン

日本でも有名なドイツの温泉。ライン川上流東海岸近くに位置する。
古代ローマ人によって開発され、十八世紀頃から保養所として発展した。
泉質は食塩泉で、泉温も高く、リウマチや神経痛に効くとされている。
温泉医療施設、飲泉館、浴場、温泉プール、社交場、美術館、保養公園
森林遊歩道などだけでなく、カジノや競馬場も併設されている国際的な
保養施設である。

カルルスバード

チョコはプラハの西、ドイツとの国境に近い山の中にある温泉。
陶磁器とガラス工業の町としても知られる。ボヘミアの皇帝カール4世が、
狩猟をしている時に見つけたという言い伝えをもっている。かって、ゲーテ、
シラー、ベートーベンなど多くの有名人が保養した事を示す記念碑があり、
観光名所となっている。
保養公園には、温泉施設、病院、宿泊施設などがあり、飲泉場があちこちに
見られる。

塩類に富み,ミネラル成分を多く含む泉質は、胃腸や肝臓などの内臓疾患に
よく効くとされる。北海道のカルルス温泉は、このカルルスバードと泉質が
似ていることから名づけられたという。

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カルルスバートの新しい温泉のコロネードでの華やかな社交場
(J・E・オーピッツの彩色銅版画、1821年カルルスバート市立博物館)
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人気の高さはマリアンスクラーゼネを凌ぐとも言われるカルロビバリー
(ドイツ語でカルルスバード)。泉質は長湯温泉とまったく同じ
炭酸土類泉である。
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ヨーロッパで最も人気の高い温泉リゾート地のひとつであるチェコの
マリアンスクラーゼネ。(ドイツ語ではマリアンバード) 
経済的には日本よりはるかに貧しい国ではあるが、歴史的な建造物や手入れの
行き届いた環境の中にいると、豊かさの何たるかを教えられて恥ずかしさに
身の縮む思いがする。特に、飲泉文化の発祥の地として、その飲泉場の
素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。
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サンモリッツ

スイスの温泉。アルプスの山々に囲まれた標高1820メートルの湖畔にある
鉱泉保養地。療養センターがあり、泉温が6度と低いため、32〜35度に
暖めてゆっくり入浴する方法で心臓病や循環器障害の治療をしている。
冬のスポーツの中心地でもあり、高原気候療法の適地でもある。

エビアン

フランス南東部レマン湖南岸に位置する。腎臓病に効果があるという
鉱泉水で有名である。飲泉保養客が多く、著名な腎臓病研究所がある。
また、鉱泉は美容水としても人気がある。

ビシー

昔から肝臓や胃腸に効く温泉として知られている重曹泉が湧く温泉保養地
第二次大戦中のフランス政府が置かれていたこともある。

エクスレバン

フランスの湖畔の保養温泉地。エクスは水、バンは浴場を意味する。
ローマ時代の浴場の遺跡がある。リウマチに効く。

リュション

スペイン国境に近い南フランスの温泉保養地。硫化水素を含む芒硝泉。
ピレネー山脈の山の中の温泉地で、呼吸器とリウマチの治療が行われて
いる。

その他、ハンガリーの首都ブタペストには、沢山の源泉があり治療の他に
日本人に似た温泉入浴も盛んに行われている。
また、スペイン、イタリア、ギリシャなど、ヨーロッパでは多くの国で温泉が
医療や保養に使われている。
温泉熱を用いての住宅暖房や地熱発電も盛んである。

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4)ヨーロッパ以外の温泉

多くの火山が集中している環太平洋火山地帯の国々は、高温泉が分布
している。しかし、温泉の医学的利用となると、ヨーロッパ以外の国では
ほとんどみられない。

アメリカでは、温泉療法が盛んに行われた時代もあったが、現在では、
温泉療法は医学の外に置かれ、健康づくりやレクレーションに使われる
ようになってきた。
世界最大の温泉地イエローストーン国立公園には3000もの源泉があり、
温泉華や間欠泉が観光客を楽しませることはあっても、温泉療法は
ほとんど行われていない。

ヨーロッパ以外の国では、温泉療養よりも、地熱としての温泉を利用し、
地熱発電が盛んである。カルフォリニア州やメキシコ、ニュージーランド、
インドネシア、フィリピンなど、高温泉がおもに地熱発電に使われている
国は多い。

中国では、保養を始めリウマチ、胃腸病などの治療に温泉が用いられる。
台湾と韓国には日本に似た温泉が浴があり、台湾では台北市北部の
新北投(シンペイトウ)温泉、韓国では忠清南道の儒城(ユソン)温泉、
温陽(オニヤン)温泉などが有名である。

以下***写真集*****
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インドの野天風呂、カーングラー派のミニアユール(18世紀頃:インド博物館)
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トルコの女風呂、床暖房のため女たちは高い木製サンダルを履いている(1791年)
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カルルスバードの飲泉場
吹き出している温泉を長いひしゃくで汲んでいる。
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ヴィシーのグラン・スルス泉のドリンクホール、泉の上に保養客の
番号付飲泉カップが保管されている。
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マリアンバードの社交場
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カルルスバードの絵葉書
左は、カップの形。右は防水服をきた女中と炭酸泉のデザイン。
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製造業者の炭酸泉ギースヒューベルの広告(19世紀末)
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グラナダ近郊にある東洋風の華麗で魅力的な
アルハンブラ宮殿のアラビア式浴場(13世紀)
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直入町と姉妹提携をしている
バートクチンゲン市のクワハウス
温泉プールの中のジャグジーで楽しむ保養客。
バートクロチンゲン市のホームページ
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【世界の温泉】・・・おわり
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これで、「長湯温泉文化本」はすべて終わりです。
最後までの御一読に感謝いたします。
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